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パレスチナ、イスラエル問題、安倍とトランプの危険な世界、日本人は安倍体制に徹底反対を

日本とイスラエルの「近さ」に潜む危うさ アメリカへの追従で失われる中東外交の「資産」

2023年10月20日 12時00分
 緊迫するパレスチナ情勢。同国のイスラム組織ハマスイスラエルのさらなる軍事衝突が危惧される中、改めて考えたいのが日本とイスラエルの距離感だ。第2次安倍政権以来、両国は防衛技術の連携などで急接近してきた。ただ、密接ぶりには危うさも潜むという。過度な肩入れや沈黙は何をもたらしうるのか。(安藤恭子、山田祐一郎)

◆バイデン大統領が強調する「親イスラエル

 パレスチナ自治区ガザの病院爆発の衝撃が広がる中、イスラエルを訪れたバイデン米大統領。18日、ネタニヤフ首相と会談し「イスラエルの自衛に必要なものを確保しなければならず、われわれは提供する」と改めて支援を表明した。
 会談後の演説でも、反イスラエル勢力の介入を念頭に「私のメッセージは1週間前と変わらない。やめろ」とけん制した。
 同じ日の国連安全保障理事会イスラエル軍ハマスの大規模戦闘の一時停止を要請する決議案が否決された。常任理事国の米国が拒否権を行使したためだ。イスラエル自衛権に言及していないことへの「失望」をその理由とした。

バイデン米大統領(右)と抱擁を交わすイスラエルのネタニヤフ首相=18日、イスラエル中部テルアビブ(AP)

 鮮明となった米国の親イスラエルの姿勢。ハマスの攻撃開始後、米国と歩調を合わせるような発言は日本政府関係者からも目立つ。
 11日にイスラエル駐日大使と会談した岡野正敬外務事務次官は「残虐な無差別攻撃は正当化できない」と表明。松野博一官房長官も12日、ハマスによる「テロ」と断定し、イスラエルとの連帯を印象づけた。
 同志社大の役重善洋嘱託研究員(パレスチナ問題)は「ハマスの攻撃のインパクトが大きく、日本は米国の圧力になびいた。イランにも配慮することでバランスを取った中東外交の資産を損なっている」とみる。

◆日本とイスラエルの接近はいつから?

 米国の同盟国でもあるイスラエル。日本は第2次安倍晋三政権以降、イスラエルと急接近した。
 政権発足翌年の2013年、イスラエルが導入予定の主力戦闘機F35の共同開発参加を表明。14年に同国のネタニヤフ首相が来日すると、15年には安倍氏が日本の首相として9年ぶりにイスラエルを公式訪問し「真の友人として関係強化に努める」と宣言した。

イスラエル企業などのテロ対策装備品の見本市「ISDEF JAPAN」=2018年8月、川崎市中原区

 その後もイスラエルが得意な軍需・セキュリティー産業で交流を深め、22年の防衛相会談では防衛技術開発の協力推進で一致した。
 今年3月に幕張メッセ千葉市)で開かれた武器見本市には、同国の兵器メーカーが多数出展した。
 「武器取引反対ネットワーク」の杉原浩司代表は「前回19年はイスラエルから3社だったのが、今回は14社に拡大した。防衛費拡大や防衛装備移転三原則の見直しの流れの中でイスラエルの軍事企業が日本に売り込みに来ている」と語る。「防衛協力の覚書を締結するなど以前と比べ、イスラエルとの経済的、軍事的つながりが強まっている」

◆「独自外交などできない」「対米追従が明確に」

 では、岸田政権の対イスラエルなどの外交はどう見たらいいのか。政治ジャーナリストの野上忠興氏は「米国の手のひらの上。内政もがたがたなのに、安全保障や貿易交渉でしっぺ返しをくらうのを恐れて、米国の意に沿わない独自外交などできない」と嘆く。
 日本は米国が描く国際的枠組みの中でイスラエルとの関係を深め、米国産兵器を大量購入してきた。「安倍政権から岩盤の保守支持層も引き継いで、身動きがとれない状況。複雑かつ切迫した国際情勢に日本の存在感を示せず、対米追従姿勢がより明確になった」

◆「イスラエルの安定」→「中東の安定」

 ここ最近の米国の外交姿勢はどう捉えるべきか。
21年に発足したバイデン政権は中東の安定化を図ろうと、アラブの盟主とされるサウジアラビアイスラエルの関係正常化を仲介してきたとされる。
 慶応大の田中浩一郎教授(中東安全保障)は米側の意図と余波をこう語る。
 「イスラエルを取り巻く環境を安定させる先に、中東の安定があるという考え方。むしろパレスチナ問題が放置された中、関係正常化を嫌うハマスが、今回の攻撃を起こす一因となったのではないか」

イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を止めるよう訴える人たち=18日、名古屋・栄で

 ハマスの攻撃は目に余る。今月7日にはイスラエルへ3000発以上のロケット弾が打ち込まれた。野外音楽フェスティバル会場も標的になり、260人以上が犠牲に。民間人らがハマスに拉致され人質となった。
 これに対しイスラエルはガザへの電気や水道を遮断し、完全封鎖した上で無差別爆撃を実施、さらに大規模な地上侵攻を予告した。

◆国際人道法違反でもイスラエル支持でいいのか

 この局面でも、手放しでイスラエル支持に傾いていいものか。日本を含めた国際社会が歯止めをかけない場合、何が起こりうるか。
 東京外国語大の黒木英充教授(中東研究)は「国連機関が運営する学校は以前からイスラエルの爆撃で狙われ、避難した住民らが犠牲となった」と述べた上、今回の報復が現実のものとなれば、さらなる甚大な犠牲を生むと警鐘を鳴らす。
 「今回、イスラエルの『自衛』として封鎖したガザへの無差別爆撃がなされ、まさに地上侵攻が行われようとしているが、ガザの完全封鎖は既に国際人道法違反の批判が出ている。明らかな不条理がある。にもかかわらず、米国をはじめとした西側諸国がイスラエル支持を表明している」

◆そしてあらわになる「世界の分断」

 世界を見渡すと、対立の構図が明確に浮かび上がってきている。
 バイデン大統領はガザでの病院爆発について「イスラエル軍によるものではなさそうだ」と早々に表明。かたやイスラム教徒が多い中東などでは、イスラエル軍による攻撃だったとして大規模なデモが起きた。7日以降の構図がより顕在化している。
 「これまでじわじわと広がってきた世界の分断があらわになった」
 先の黒木氏はそう述べ、「イスラエルに不条理がありながら支持する西側の姿勢は『二重基準』。多くの人が抱く危機感を日本政府は理解しているのか」と危惧を強める。
 「時間の経過とともに、日本は米国と歩調を合わせ、イスラエル寄りの対応が目立つようになってきた」と話すのは、日本エネルギー経済研究所理事の保坂修司氏だ。
 中東情勢を巡って対立構図が鮮明になる中、経済面で支障は生じうるのか。日本が原油の輸入の大部分を頼るサウジアラビアイスラエルとの国交正常化交渉を凍結した。今後、どのような影響を及ぼすのか。

アメリカと同一視されれば日本も標的に

 「50年前の石油危機のように、アラブ諸国原油供給を制限する可能性は低い」とみる。ただし「事態がエスカレートして、レバノンなどの周辺国に拡大する恐れはある。イスラエルを支援する米国と同一視されるようになると、テロを含め、怒りの矛先が日本に向きかねない」と危ぶむ。
 現段階で何より看過できないのが現地の状況だ。衝突が次の衝突を生む負の連鎖で犠牲になるのは民間人だ。日本政府はガザの一般市民に向け、総額1000万ドル(約14億9000万円)規模の人道支援を表明した。
 黒木氏は日本政府にさらなる対応を求める。「できることは限られているが、既に戦争犯罪が行われていることを国として指摘し、暴力の即時停止をしっかり表明する必要がある」

◆デスクメモ

 特報部へ最初に赴任したのが10年ほど前。この頃からイスラエルへの接近が目立ち「国際的に突出」「アラブ諸国は疑心暗鬼」と報じたのを覚えている。中立的とされてきた日本の中東外交は現在、どう見られるか。仲裁役を担えるか。果たすべき役割となすべき行動を改めて考えねば。(榊)