「安倍さんの言葉のひとつひとつに運命めいたものを感じてしまいます」

 そう語るのは、安倍晋三・昭恵夫妻と親交の深かった作家の林真理子氏だ。

 

 ここ3カ月で3回、安倍さん夫妻とお会いしました。

「主人もようやく時間ができたので、みなさんとご飯を食べたいと言ってます」

 昭恵さんからお誘いいただき、安倍夫妻、私と主人、お友達夫妻の6人で会員制の焼き鳥屋に集まったのは4月中旬。安倍さんに「林さんと初めて会ったときのこと覚えていますよ」と言われてびっくりしました。

 それは20年前の2003年、私が父の介護のために山梨の実家に帰省していたときのこと。甲府駅前に「安倍晋三幹事長来たる」と大きな看板が立てられていた。当時の小泉純一郎総理のサプライズ人事で、49歳で幹事長に抜擢されたばかりの安倍さんを見たいと駅前に出かけました。聴衆に紛れ握手してもらおうと行列に並んでいると、「林さん、どうしてここにいるんですか!」と気さくに声をかけてくださった。

 昭恵さんと知り合ったのも同じ頃、昭恵さんの義母の洋子さんが運営するボランティア団体での講演がきっかけでした。昭恵さんに「連れて行ってくれませんか」と言われ、行列で有名な足立区鹿浜のスタミナ苑へご一緒したこともありました。自民党幹事長といえども並ばせるのが、この店の流儀。みなで行列に並び、食事して私と主人はへべれけに酔ってしまった。帰りはお酒を飲まなかった安倍さんが運転して送ってくれたんです。

もう一つ引用

[政治]


 類は友を呼ぶ。安倍首相と親しい人間たちの質の悪さは稲田朋美防衛大臣を見ればわかろうというものである。

 国有地売却問題をめぐり安倍首相夫妻の関与疑惑が浮上している森友学園だが、稲田防衛大臣も籠池(かごいけ)前理事長とは懇意で、顧問弁護士をしていたにもかかわらず、国会で質問されると、最近は会っていない、顧問などしていないと言い張った。

 籠池本人から2年前にも会っていると言われ、顧問弁護士をしていた証拠書類が出てくると、いけしゃあしゃあと謝る姿は醜悪というしかない。

 森友学園がつくる小学校の名誉校長を安倍首相の妻・昭恵が務めていたことも含めて、疑惑が山盛りだが、そこに今度は安倍の「刎頚(ふんけい)之友」である学校グループ・学校法人加計(かけ)学園のトップ、加計孝太郎にまつわる大疑惑が噴出したのだ。

 『週刊現代』(3/25・4/1号、以下『現代』)によれば、問題のその建物は田んぼの中に民家とため池が点在するのどかな淡路島の南部にあるという。

 土地と建物を合わせた評価額は30億円近いという公有地だから、8億といわれる森友学園とはケタが違うのだが、それを加計学園は12年にタダで手に入れたそうだ。

 加計氏と安倍首相の交友は30年以上前から。「安倍総理は大学卒業後、アメリカへ留学した時に加計氏と知り合ったと聞いています。加計学園が運営する大学に千葉科学大学銚子市)があるのですが、この開学記念式典(05年)、そして10周年記念式典(14年)に総理は出席し、『私と加計さんは、どんな時も心の奥でつながっている腹心の友』とまで話している」と、自民党ベテラン議員が証言している。

 この大学は日本で初めて危機管理学部を開設したことで有名だそうだが、それも北朝鮮拉致問題に熱心だった安倍が、「これからは日本にも危機管理のプロが必要だ」と公言していたのと関係があるのではないかと言われているようである。

 このグループの中で最も歴史の古い大学、岡山理科大学の新校舎が完成した際には、安倍はビデオレターで祝辞を寄せた。

 また、妻の昭恵は、ここが運営する神戸市の保育施設「御影(みかげ)インターナショナルこども園の名誉園長に就任しているのも、森友学園疑惑と似た構図である。

 冒頭の物件は『現代』によると、もともと兵庫県立志知(しち)高校があったが、生徒数減少のために廃校となった。

 その後、大阪府に本社があるパチンコ機器メーカーがこの「跡地を買って、工場か倉庫を建てたい」と手を挙げた。

 その社長は南あわじ市の出身で、故郷に利益を還元したいという思いもあったそうだ。市の担当者とは20回以上もやり取りをしていたそうだが、その交渉の最中に突然、地元紙の神戸新聞「志知高校跡地に吉備国際大が候補に」という記事が11年10月に出たのだ。

 吉備国際大学というのは加計氏の姉が理事長を務め、グループの学校法人順正学園が経営する。主なキャンパスは岡山県高梁(たかはし)市にあるそうだ。

 『現代』によれば、当時の南あわじ市長と順正学園は水面下で交渉を始めていて、完全にトップダウンの決定だったという。第一、岡山県にある大学のキャンパスがなぜ兵庫県の淡路島にできるのか? 首を傾げざるを得ないが、不可解なのはそれだけではなかった。

 ある市政関係者が匿名を条件にこう明かす。

 「順正学園に土地をタダで使わせ、建物と設備を無償譲渡して、市が共同で校舎を整備する、という計画書が市長からいきなり出てきた。しかも費用20億円のうち、13億円強を市が負担することになっているうえ、学生が南あわじ市に住民票を移せば、1人あたり30万円まで補助金も出すと」

 しかも計画書に書かれている「教育・研究設備(図書含む)」費が5億円とあるのは、水増しではないかと訝る声もあったが、市議会で圧倒的に強い自民党と市長が押し切り、アッという間に通ってしまったそうだ。

 さらに不可思議なのは、南あわじ市は豊かな自治体ではないことだ。当時の市税収入は年間およそ60億円で、土地と建物をタダで提供するばかりか、税収の6分の1以上を順正学園補助金として「献上」しようというのだから解せない。

 当時の市議会で反対意見を述べた蛭子(えびす)智彦市議がこう言う。

 「調べてみると、これまでに順正学園は、高梁市で約60億円、系列の九州保健福祉大学がある宮崎県延岡市でも約90億円の支援を受けています。(中略)なぜ200億円も資産を持っている学校法人に対して、カネのない南あわじ市が巨額の支援をしなくてはいけないのか」

 もっともだと思うが、工事内容の資料開示請求をしても出してこない。12年10月には物件の返還を求める監査請求が市民から兵庫県に出されたが、あっさり棄却されてしまった。

 1年半後にオープンしたが、1学年の定員60名に対して入学者は初年度56名、翌年50名、その次が49名、昨年は43名と減少するばかり

 さらに愛媛県今治市に開設予定の岡山理科大学獣医学部の用地も、約37億円相当の市有地がやはりタダ同然でこの学園に渡ることが、3月3日に今治市議会で決まり、波紋を呼んでいる。

 なぜ加計学園獣医学部にこだわるのか。それは加計氏の息子が獣医学部を出ているからだと言われているそうである。

 文科省はこれまで頑なに獣医学部の新設申請を却下してきた。麻生太郎が議連の会長を務める日本獣医師会も、学校法人のビジネス拡大だと猛反対していたそうだが、安倍首相の「強い意向」で決まり、麻生もいつの間にか黙り込んでしまったという。

 さらに192億円の施設整備費を市・県と加計学園とで折半する取り決めになっているというのだ。

 だが、県議会の自民党が割れ始めていて、何で何十億も出さなければいけないのかという議員が増えているのだそうだ。

 当然であろう。自治体にも思惑があろうが、獣医学部をつくったところで学生が大挙してきてくれるわけではない。税収は増えるかもしれないが、それだけの費用を負担するとなれば赤字になるかもしれない

 いくら安倍様のお友達でも度が過ぎると思わないほうがおかしい。こうした声を裸の王様である安倍首相は聞く耳を持たないのだろう。

 最近は、国会答弁でも、バカヤロー解散をした吉田茂も唖然とするような高飛車な発言が目に付く。

 『週刊文春』(3/23号)のコラム「新聞不信」は、そうした目に余る態度を新聞は書いていないと叱っている。

 「各紙を読んでも、“一強”をバックにした傲岸不遜な実像は全く見えてこない。政治記者が臨場感溢れる記事を書いていないのだ。生中継を見られない現役世代にとって新聞は無用の長物でしかない媒体になっている」
 水戸黄門の印籠のように、お友達たちが「われは安倍のお友達であるぞ」とやりたい放題なのを、知っていて放任しているとすれば、安倍首相の責任は重大で、即刻腹を斬るか辞任すべきだと思う。