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安倍氏回顧録に分かれる賛否…高市氏「トップの判断学べた」米山氏「全部人のせい」国会でも言及
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2月8日、昨年7月に死去した安倍晋三元首相の生前のインタビューで構成された『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)が発売された。 【画像あり】写真で実感する「安倍氏のいない国会」 回顧録の帯には《あまりに機微に触れるーーとして一度は安倍元首相が刊行を見送った》とある。通算8年9カ月、日本憲政史上最長の「安倍政治」を赤裸々に振り返る内容に、賛否が渦巻いた。 高市早苗経済安保相は、2月8日、自身のTwitterにこう書きこんだ。 《「安倍晋三回顧録」(中央公論新社)は、橋本五郎氏と尾山宏氏によるインタビューを元国家安全保障局長の北村滋氏が監修された豪華版。私の知らなかったエピソードも多く、一国のトップとしての判断や行動の有り様を学べました》 一方、立憲民主党の米山隆一衆院議員は同日、自身のTwitterでこう批判した。 《お仕事で安倍晋三回顧録を読んでいますが、兎も角悪い事は全部人のせい、良い事は全部自分の手柄で、しかもインタビューアーの筆致がそれに疑問を持たず信じ込んでいる風で、読んでいて非常に疲れてきます。成程日本の劣化との共依存で世に出て、その地位を固めたリーダーだったんだなと思います》 また、作家でジャーナリストの門田隆将氏は、同日、自身のTwitterにこう書きこんだ。 《『安倍晋三回顧録』で安倍氏は消費税率10%への引上げ延期に反対した財務省を“政権批判を展開し私を引きずり下ろそうと画策。彼らは省益の為なら政権を倒す事も辞さない。増税先送りの判断は必ず選挙とセットだった。そうでなければ倒されていた”と。岸田首相が言いなりも当然?》 回顧録で安倍氏は、森友学園問題について《私はひそかに疑っているのですが、森友学園の国有地売却問題は私の足もとをすくうための財務省の策略の可能性がゼロではない》《財務省は当初から森友との取引が深刻な問題と分かっていたはずです。でも私のもとには土地取引の交渉記録など資料は届けられなかった》と語っている。 2月8日の国会では、財務省による「安倍氏降ろし」について取り上げられた。 立憲民主党の大西健介氏が「安倍氏に交渉記録などの資料を故意に届けなかったのか」と質問すると、鈴木俊一財務相は「故意か故意じゃないかは別として、その資料は届けていなかった」と答え、「安倍氏降ろし」の意図については「コメントのしようがありません」とした。 岸田文雄首相は、財務省による「安倍氏降ろし」の動きについて、「感じたことはない」と述べた。また、財務省との向き合い方について、「内閣の一部として責任を果たしてもらうべく、政治がコントロールする責任があると考える」と強調した。 SNSでも賛否が割れているが、回顧録の出版自体は評価する声も上がっている。 《『安倍晋三回顧録』は、各所に向けて天然煽り力を遺憾なく発揮していて、これは紛れもなく安倍晋三の回顧録だわってなる》 《国内外の議員や閣僚クラスの実名バンバンでていろんなエピソードが飛び出してるから面白いよ》 《第二次安倍政権の裏側は永遠に闇の中だと絶望視されていたが、当の安倍ちゃんが回顧録をしっかり残していたのホント安倍ちゃんらしい手堅さだよなぁ…》 《回顧録、安倍ちゃんのところからはこう見えるのねっていう話としては仕方ないんだけど、各省庁が遠のいて、官邸メンバーが重用されてだんだん世論から離れてくのもやむなしという感じがする》 昭恵夫人は、回顧録出版について快諾したという。2020年10月から2021年10月まで、1回2時間、計18回、36時間にわたったインタビュー。賛否は割れても、歴史的な資料となることは間違いなさそうだ。