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大前研一「ニュースの視点」インフレ・円安に対して何もできず、円国債を売り浴びせられ、避けるために国債利子上げると自ら大量に抱えている日本国債の利払い インプロージョン(内部爆発)

大前研一「ニュースの視点」

インフレ・円安に対して何もできず、円国債を売り浴びせられ、避けるために国債利子上げると自ら大量に抱えている日本国債の利払い インプロージョン(内部爆発)



引用:大前研一「ニュースの視点」22/4/29

大前研一ニュースの視点〜
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世界経済/円相場/米国債/米政策金利
〜手に負えない円安で日本経済は苦境に立たされる

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世界経済 物価ギャップ拡大、日本は米国の4倍
円相場 一時1ドル129円40銭
米国債 米10年物国債利回り、一時2.88%台
政策金利 0.5%利上げも選択肢

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▼インフレでも消費者物価を上げられない日本の企業は苦しくなる
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日経新聞は13日、
「物価ギャップ拡大、日本は米の4倍」
と題する記事を掲載しました。

ロシアによるウクライナ侵攻で
世界的にインフレが進む中、
企業物価と消費者物価のキャップが
拡大していると紹介しています。

特に日本は、
円安による原材料の輸入価格の上昇のほか、
長年のデフレ傾向で
企業が小売価格を引き上げにくい現状で、
製造業にとっては
最大14兆円の減益要因になるとの試算も
あるということです。

ロシアのウクライナ侵攻の影響が
かなり出始めて、
エネルギー価格は高騰しています。

ヒマワリ油をはじめとした
エネルギー以外の物資も
値上がりが進み、
各国で企業物価と消費者物価の間に
ギャップが生じている状況です。

現在の日本の企業物価は9.7%の上昇、
消費者物価は0.9%の上昇で、
ギャップは8.8%もあります。

一方で、
米国は企業物価を
すぐ消費者物価に反映してしまうので、
約2%しかギャップはありません。

中国は6.8%のギャップです。

ヨーロッパのギャップは
25.5%にもなっていますが、
これは資源のロシア依存が強く
企業物価が31.4%も暴騰したせいであり、
そのうちの5.9%は
消費者物価に反映されています。

日本企業が物価上昇を
消費者に転嫁できないのは
構造的な問題ですが、
8.8%ものギャップを
吸収しなくてはいけない状況は
かなり苦しいと私は思います。

 


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▼手に負えない円安で日本経済は苦境に立たされる
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20日の東京外国為替市場で
円が一時1ドル129円40銭と、
およそ20年ぶりの
円安ドル高水準となりました。

米国の長期金利の上昇に加え、
日銀がこの日、
利回りを指定して
金融機関から国債を無制限に買い入れる
指値オペの実施を通知したのを受けて、
日米の金利差拡大を見込んだ
円売りドル買いが続いている現状です。

「アベクロ」経済政策が始まった頃から
私は何度も提言していますが、
今まさに問題が浮き彫りになっています。

日本のような低欲望社会においては、
物価も上昇しないし需要も喚起されません。

しかし、
他国の国債金利やインフレの影響を
免れることはできません。

ボーダレス経済の中では
インフレは輸出入されてしまうからです。

今日本は
米国に引っ張られる形で
円安が進んでおり、
これを止める方法はありません。

米国では、
パウエルFRB議長が
3月に政策金利を0.25%上げており、
今年中にまだ上げると発言しています。

こうなると、
すでに円安が進んでいますが、
さらに絶望的な状況に陥るかも知れません。

日銀は約500兆円の国債を抱えていますが、
世界のマネーが
金利の高い国に向かって動くとなると、
いずれ日銀も
金利を上げざるを得なくなります。

そうなると、
利払いが利息を上回る逆ザヤ状態になって、
日銀はインプロージョン(内部爆発)を
起こしてしまう可能性があります。

このような状況になっても、
日銀がいまだに
円安にはいい面もあると
危機感を示さないのは
私には全く理解できません。

円安が進んでいても、
経常収支を見ると
貿易収支もサービス収支も
ゼロからマイナスです。

これは円安で潤う企業が
日本全体から見ると
かなり減っていることを示しています。

円安がプラスに働く
日本から米国などへの
直接的な輸出は減っていて、
輸出するとしても
中国を経由するような構造変化が
起こっています。

鈴木財務大臣
「悪い円安」だと発言した通り、
史上最長となるほど長く続いた
「アベクロ」経済政策の負の側面が、
これから日本経済を
苦しめていくことになると思います。

 


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米国債利回りの高騰で日本の経済政策は袋小路
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18日の債券市場で、
米国10年物国債の利回りは
一時2.88%まで上昇し、
2018年12月以来の高水準となりました。

米連邦準備理事会(FRB)が
インフレ鎮静化に向け
保有資産を減らす
量的緩和の引き締めを急ぐとの見方から、
米国債の需給悪化を懸念した売りが
続いているもので、
景気後退のサインとされる
長短金利の逆転現象は解消されたものの、
景気不安は根強く残る現状です。

オーストラリアや米国では、
国債を誰も買ってくれない状況になると
金利を上げます。

その結果、
国債を買ってくれる人は増えます。

一方日本の場合には、
日銀が大量に国債を買うことにより
利回りを抑えています。

現時点で米国債などと比べて、
利回りで2%以上の差がついています。

すると市場は
日本国債を売って米国債を買うという
選択をするため、
日本にとっては厳しい状況になります。

そうならないために、
米国に引っ張られる形で
国債の利回りを上げると、
先ほど述べたように
日銀は自ら大量に抱えている
日本国債の利払いに耐えきれず
インプロージョン(内部爆発)を
起こすことになります。

どちらを選ぶにせよ、
日本にとっては
非常に厳しいシナリオが待ち受けていると
私は見ています。

 


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アベノミクス以前の経済政策も足枷に
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米連邦準備理事会(FRB)の
パウエル議長は21日、
5月に予定する次回の会合で、
0.5%の利上げが
選択肢にあるとの考えを示しました。

米国では今後、
利上げと量的引き締め(QT)を組み合わせた
経済政策が始まります。

引き締めのために金利を上げ、
市場へのマネーサプライ、マネタリーベースも
絞っていくことで
インフレを鈍化させる狙いです。

それを実現できるのは
日本経済に比べて
米国経済が強いということを意味しています。

一方日本は、
逆の政策をとらざるを得ない状況にあります。

2009年当時の
金融担当大臣である亀井静香氏が施行した
中小企業金融円滑化法(通称モラトリアム法)。

銀行融資の利払いができなくても
デフォルトとは見なさないという
私に言わせれば「あってはならない制度」ですが、
約30万社がこの制度を活用しました。

いま日本がQTに入ると、
モラトリアム法を利用していたような
脆弱な企業の多くが一気に破綻し、
銀行経営を直撃してしまいます。

インフレ・円安の対策をしたくても
別の問題で身動きがとれない日本は、
いま非常に難しい状況にあると思います。