日本経済の「真」の問題点、円高が進まなくなったことを心配せよ
日本では円高を心配する意見が根強い。しかし、日米金利差の縮小を背景に円高が進むのではないかという懸念に反して、ドル円レートは110円近辺で安定的に推移している。巨額の貿易黒字を計上し、貿易摩擦を伴った円高圧力が続いていたのは過去の話だ。プラザ合意以降の円高の潮流は2012年初めで終わったのではないか。
中国など新興国の競争力が高まる中、日本の競争力は低下している。貿易黒字を稼ぐ強い国ではなくなった日本の円は、日米金利差が縮小したからといっても購入する魅力が薄れている。安全通貨としての円買いも同様だ。円高の心配をするよりも、円高が進まないことを心配すべきだろう。