引用:毎日
異次元緩和「こんなことなら、始めない方がよかった」 木内登英氏
日銀が「異次元緩和」導入を決めた2013年4月4日の金融政策決定会合で、当時審議委員だった木内登英・野村総研エグゼクティブ・エコノミストは、年2%の物価安定目標の達成期間を「2年程度」とすることにただ一人反対した。
あれから10年がたっても2%目標は達成していない。当時の日銀の判断は正しかったのか、木内氏に聞いた。【聞き手・岡大介、杉山雄飛】
「2年で達成」の落とし穴
――異次元緩和を始めた13年4月の会合での判断を今どう捉えていますか。
◆異次元緩和をやらない方が良かったと思います。13年1月の政府と日銀の共同声明では、2%の物価安定目標は企業や政府も含めみんなで目指す位置づけでした。黒田東彦前総裁のもとで2%目標を2年で達成すると強く打ち出したことで、2%目標が「金融政策のみで達成する短期目標」に意味づけが変わってしまいました。
私は目標達成の期限を2年と示すことには反対しましたが、結果として2%を達成したかどうか判断してからでないと政策を動かせない硬直的な状態に陥り、効果があるか分からないまま10年続いてしまいました。
短期的に試す価値はあった
――13年4月の会合では異次元緩和の集中期間として2年で区切ることを提案しました。
◆私は13年4月の会合で異次元緩和の副作用の…