「警視庁は11日、暴力行為等処罰法違反や名誉毀損などの疑いでガーシー氏がYouTubeから得た収入を管理している会社の関連先を捜索しました」 と、社会部デスク。 「複数の告訴状の内容を裏付ける捜査を重ねているということです。一方で、ガーシー氏に対しては任意の事情聴取を要請してきました」(同) これに対してガーシー氏は、現在滞在するドバイから日本に帰国し、国会にも出席する予定であることを明らかにしている。担当の弁護士を通じ、警視庁にも意向は伝えられているという。
当局の神経を逆撫で
ガーシー氏をめぐっては、2022年7月の初当選後、一度も国会に登院していないことについて、参議院から「欠席の理由を書面で回答すること」を求められていた。ガーシー氏は昨年、書面で「海外で政治活動をするという公約を掲げて当選した。海外でSNSを利用してあらゆる不正を暴露し裁くことで、この国の不満を解消していくことが私に投票した皆様との約束で、海外から国会議員の仕事は可能だ」と回答していた。 「この間、警察は検察と連携しながら、立件の可能性を見極めつつ、世の中の反応にも耳を傾けてきました。その結果、捜査当局は、“国会議員としての職責を果たしていない。国民を愚弄している”という声が大きいとの理解をしたようです。参議院からの質問への回答も当局の神経を逆撫でした感じです」(同) もう少し詳しく説明してもらうと、 「国会議員に対する捜査はもちろん慎重にならざるを得ないのですが、一方で当局としては、“国会議員としてふさわしいのか”という判断にまで踏み込んでいたようです」(同)
「ガーシー氏の件は、かつて立花孝志党首(NHK党)にかけられた嫌疑の処理の仕方が参考になるのかなと思いました」(先の社会部記者) 2020年4月、NHKから国民を守る党(当時の名称)の党首だった立花氏は、離党した区議を脅したり、NHKの受信契約者の情報を不正入手したりした件で、脅迫や不正競争防止法違反などの罪で東京地検に在宅起訴されている。 「警視庁の捜査1課はこの件で身柄を取る、つまり逮捕にかなり前向きでした。一方で検察は逮捕には積極的ではなく、結果として在宅起訴に落ち着きました。2019年の参院選で当選した後に辞職し、国会議員のバッジはつけていなかったものの、公党のトップを逮捕するというのはかなりインパクトがあることで慎重にならざるを得なかったようです」(同) 今回はどんなふうに捉えられているのだろうか? 「罪状的に最低でも書類送検は間違いないようです。そして警察も検察も“議員は辞めざるを得ない”との判断をしています」(同)
つまり、「逮捕すべし」の段階まではきていないようなのだが、当局の判断を左右するのが、本人の身の処し方だというのだ。 「本人が議員辞職するか否かが焦点になりそうです。そうするなら逮捕・起訴は回避されると思われますが、逆に本人が徹底抗戦して辞職しないと主張し続ければ身柄を取るということもあり得るとのことでした」(同) 逮捕すべしというよりはむしろ「議員辞職すべし」といったところだろうか。捜査当局が国民の声をどれだけ聞いたのか判然とはしないが、体裁だけ見れば立派な国策捜査とみなしうる案件だろう。 立花党首自身、会見で「やはりガーシーは国民の応援がないと厳しい立場になる」としたうえで、3月下旬に行われる予定の参議院総務委員会においてNHK会長を相手にガーシー氏がデビューできるように手配していきたい旨を語っている。 「そこで初陣を飾ることができるのか。そのためには当局とのやり取りもさることながら、結構なハードルを越えなければならないですね」(同)