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年の瀬記者ノート 「機密費」5000万円利用、愛人と欧州旅行 6億円超の使途解明へ
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私立幼稚園の環境改善などのために活動している全日本私立幼稚園連合会(東京)を巡る使途不明金問題に警視庁が7月、捜査のメスを入れた。子供たちのために使われるはずだった資金が、元事務局長によって愛人女性との交際費に充てられるなど、許しがたい実態が明らかになった。警視庁は6億円超に上る使途不明金の全容解明に向けて、捜査を続けている。(宮野佳幸、塔野岡剛) 【写真】通帳偽造を認めた前会長の香川敬被告 ■領収書不要の予算 問題が発覚したのは約2年前の令和2年11月。連合会の内部調査で多額の使途不明金が発生していることが判明した。発覚を免れようと連合会名義の預金通帳の偽造などに関与した
香川とチン三
=有印私文書偽造罪などで起訴=と、事務局長だった勝倉教雄被告(49)=同罪などで起訴=は辞職。連合会は翌3年3月、警視庁に刑事告訴していた。 今年7月、警視庁捜査2課は、両被告を業務上横領と私文書偽造の疑いで逮捕。逮捕容疑は平成28年~令和2年、連合会の資金計約700万円を着服し、通帳などの残高を改竄(かいざん)したとしていた。約700万円は香川被告が通っていた銀座の高級クラブの飲食代や、都内の高級ホテルのフィットネスクラブの年会費とマッサージ代に充てられ、「会議費」などとして経理処理されていたという。 捜査関係者によると、香川被告は「機密費」と呼ばれる予算を利用でき、領収書は不要。支出の目的や利用方法の事後検証が難しいものも少なくなかった。 捜査2課が使途の裏付けを進めると、平成29年~令和2年、都内の高級ホテル内にある施設の総利用回数は、逮捕容疑となったマッサージも含め2千回を超えていた。支払総額は少なくとも約5千万円。捜査幹部は「会長の業務として接待などとして使ったものがある可能性は否定しないが、あまりに回数が多すぎる」と指摘する。 捜査2課は立件対象を香川被告が個人的に利用したとみられる支出に絞ったが、最初の逮捕容疑となった業務上横領罪では両被告とも不起訴となり、有印私文書偽造などの罪で起訴された。 ■分不相応な経費 幼児教育の無償化実現に尽力したとされ、連合会内で一定の評価を得ていた香川被告。だが、過剰ともいえる経費利用を指摘する声はあった。 連合会関係者によると、香川被告は地元の山口県から上京すると、高級ホテルを利用し、文部科学省などへの移動はハイヤーを繰り返し利用していた。連合会関係者は「会長でも分不相応な支出だ」と指弾した。 香川被告は初公判で「間違いない」と起訴内容を認めた。そして、12月20日午後、東京地裁で開かれた判決公判で、懲役1年6月、執行猶予3年の判決が言い渡された。