引用:朝日
政府は16日に閣議決定した防衛力整備計画で、今後5年間の防衛費を計43兆円とした。前回の計画の1・5倍以上で、歴史的な増額となった。防衛省・自衛隊は歓迎のはずだが、海上自衛隊現場トップの自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏は「身の丈を超えている」と警鐘を鳴らす。現役時代は防衛予算を増やせず辛酸をなめたという香田氏に、その思いを聞いた。
――今後5年間で整備する防衛力の内容と総額が決まりました。
「今回の計画からは、自衛隊の現場のにおいがしません。本当に日本を守るために、現場が最も必要で有効なものを積み上げたものなのだろうか。言い方は極端ですが、43兆円という砂糖の山にたかるアリみたいになっているんじゃないでしょうか」
――防衛費を増やすべきではないということですか。
「違います。私は防衛費が足りないとずっと言ってきた人間です。10年ほど予算も担当しましたが、GDP比1%という枠に抑えられ、必要な艦船や航空機をそろえると、とても弾薬まで十分には買えませんでした。老朽化する隊舎の耐震工事でさえ、目をつぶらざるを得なかった。台湾情勢、北朝鮮のミサイル発射、ロシアのウクライナ侵攻という中で、弾薬など継戦能力の大幅な拡充や、他国に遅れないための装備品の開発・調達には相当のお金が必要です」
――では、何が問題なのですか。
「身の丈を超えていると思え…