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自民盗県議団や犯罪維新、「家庭教育に入り込みたい豚うんこ」

引用:毎日

「子ども産むべきだ」価値観押しつけ?岡山の家庭教育応援条例案物議

家庭教育応援条例案に反対する2万筆以上の署名を県議会事務局担当者(左)に提出する市民グループのメンバーら=岡山市北区で2022年1月12日午後3時18分、戸田紗友莉撮影 拡大
家庭教育応援条例案に反対する2万筆以上の署名を県議会事務局担当者(左)に提出する市民グループのメンバーら=岡山市北区で2022年1月12日午後3時18分、戸田紗友莉撮影

 家庭教育における親の役割などを定めた「岡山県家庭教育応援条例案」が、県議会に提案されて議論が巻き起こっている。当初案は「子どもが将来親になるために学ぶことを促す」などと記されていたことから、「子どもを産むべきだ」という価値観を押しつけているなどとして猛反発を招き、修正に追い込まれた。ただ、修正案についても「行政の不当な介入につながる」といった反対意見が噴出している。条例案は近く、県議会本会議で採決される見通し。

自民県議団が提案、反対署名2万筆

 条例案は前文で「家庭や地域の教育力の低下が問題」とうたった上で、保護者や地域の役割、県の責務などが定められている。提案したのは県議会最大会派の自民党県議団で、2019年から会派有志で検討会を設置し、16年に同様の条例を施行した茨城県を視察するなどしてきた。21年4月、県議会の委員会に素案を提出した。

 翌5月からパブリックコメントを募集すると、自治体や県民から約1カ月で計511件の意見が寄せられた。「特定の価値観の押しつけではないか」「保護者になるプレッシャーを感じざるを得ない」など、反対や疑問視する意見が多数寄せられた。県弁護士会は「家庭教育に対する公権力の過干渉につながる」などとする反対声明を発表。市民グループ「いらないよ!岡山県家庭教育応援条例」も22年1月、反対署名約2万筆を集めて県議会に提出し、撤回を求めた。

岡山県議会棟前で条例案への反対を訴える市民グループのメンバーら=岡山市北区で2022年1月25日午前9時37分、戸田紗友莉撮影 拡大
岡山県議会棟前で条例案への反対を訴える市民グループのメンバーら=岡山市北区で2022年1月25日午前9時37分、戸田紗友莉撮影

条文修正し再提案、委員会可決

 こうした反発に対し、県議団は条文を修正。保護者の役割を定めた条文から、「子どもに愛情をもって接し」や「親として成長していくよう努める」などを削除。「親になるために学ぶ」は「親になる選択をした場合のために学ぶ」とするなど修正して再提案した。「十分な議論がなされていない」とする野党系会派の反対を抑えて同月、委員会で可決された。

 岡山県内に住むフリーライターで母親でもある黒部麻子さん(40)は、「そもそも条例を制定する理由が明確ではない。家庭を支援するのなら精神論ではなく、政策を通じて生活のゆとりを確保できるようにしてほしい」と訴える。県保育団体連絡会の川元盛樹会長も、条文を削除・修正しても親になることを前提とした考え方は基本的に変わっておらず、「子どもを型にはめるような内容だ」と批判している。

 これに対し、条例案作成に関わった福島恭子県議(53)は「特定の考えを勧めるものではない。各家庭で事情が違うことは承知しているし、一部の人を排除しているわけでもない。子どもたちを社会的にバックアップしていこうという条例がなぜ、ここまで反対されるのか不思議だ」と首をかしげる

同様の条例、大阪市では白紙撤回

 同様の条例は熊本を皮切りに9県で制定されている。12年には、大阪市大阪維新の会市議団が議員提案を予定していた「家庭教育支援条例案」が、発達障害は「乳幼児期の愛着形成の不足」が要因などとする条文に抗議が殺到。白紙撤回に追い込まれた。

 今回の条例案について、実践女子大の広井多鶴子教授(教育社会学)は、少年犯罪や虐待死事件の発生件数は減少傾向にある点に言及。「『今の親は問題だ』という認識から出発していることがおかしい。上から目線で歯止めの利かない行政の介入を招いてしまう」と批判した。その上で「虐待や非行の根底には経済的背景が大きく影響している。行政はそうした根本に目を向けた支援をしていくべきだ」と訴えた。【戸田紗友莉】