4月の東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、東京地検特捜部は28日、初当選した木村弥生前区長(58)の当選を図る目的で地元区議らに現金を配布したとして、衆院議員で前副法相の柿沢未途容疑者(52)=東京15区、自民党を離党=と秘書4人を公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕した。柿沢議員の買収容疑の総額は約260万円に上るとしている。
逮捕された秘書は、伊藤正樹(51)▽柚留木成人(64)▽後藤周(38)▽森川直樹(34)――の4容疑者。伊藤、柚留木の2秘書は公設秘書を務めている。関係者によると、柿沢議員と秘書4人はいずれも買収容疑を否認しているという。
区長選は区議選と同じ日程で投開票され、自民党元衆院議員の木村氏の他に、自民都連が推薦する元都議も出馬して「保守分裂」の構図となった。柿沢議員は木村氏を支援していたとされる。
柿沢議員の逮捕容疑は、秘書5人と共謀して告示約2カ月前の2月ごろ、木村氏の当選を図る目的で、自民から区議選に出馬予定だった区議ら5人に計100万円を渡し、他の立候補予定者3人に現金計60万円の供与の申し込みをしたとしている。逮捕されていない秘書1人は在宅で捜査するとみられる。
さらに柿沢議員は3月ごろ、選挙スタッフ1人に現金20万円を渡し、選挙後の7~10月には木村氏の選挙運動を指揮したとされる非自民の元区議に計約80万円を渡したとされる。いずれも選挙運動の報酬とされ、元区議には「顧問料」名目で月額20万円が振り込まれたという。
また、買収容疑とは別に、木村氏と共謀して選挙期間中に有料のネット広告(約38万円)を動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載したとする公選法違反も逮捕容疑に含まれた。
柿沢議員側は木村氏の陣営スタッフ13人に計約90万円の報酬を支払った疑いも浮上していたが、特捜部は後藤秘書が4人に支払った計約56万円が違法な報酬と判断し、運動員買収容疑では後藤秘書のみを立件した。【井口慎太郎、山田豊】