BBCも、安倍政権のハリボテ同然の実情を冷静に分析。
米・イランの仲介役? 選挙前のイメージアップ? 安倍首相がイランへ
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イランは安倍首相に懐疑的?
専門家は、安倍首相にアメリカとイランの関係を変える力があるかは疑問だとしている。
テンプル大学現代アジア研究所のロバート・デュジャリック所長はBBCの取材に対し、「米・イラン間の『合意』を仲介できる可能性はゼロに近いと思っている」と話した。
キングストン教授も、日本は西側諸国とは違いイランに対する歴史的・宗教的な問題がないにも関わらず、「イラン政府は安倍首相を誠実な仲介役とは見ていない」と指摘している。
良い仲介役の条件は、双方への偏りがないことがだが、安倍首相はつい最近トランプ氏と会ったばかりで、その友情を誇っている。
「アメリカ政府との緊密さを見れば、イランが安倍氏を客観的と認めるわけがない」とキングストン教授は説明した。
「イランは、日本には明らかにトランプ大統領やアメリカの同盟国とつながりがあると見るだろう」
そのため、多くの専門家は今回の訪問での成果はあまり期待していない。外務省関係者も、イラン訪問で重要な役割を果たすことへの期待をトーンダウンさせている。
日本メディアは外務省筋の話として、安倍首相は仲介役としてイランに行くのではなく、米・イラン関係の危機を早急に終わらせる計画もないと報じている。
イラン訪問で安倍首相の支持率は上がるのか
多くのアナリストは、イラン訪問の本当の目的は国内政治にあるとみている。
米・イラン関係では大きく実を結ばないかもしれないが、それでも「安倍氏には好材料だ」とデュジャリック所長は説明する。
「有権者に、世界的な政治家だと印象付けられる」
それが安倍首相にとって重要なのだ。7月には参議院選挙が行われる予定で、勝利を確信すれば衆議院でも解散総選挙を求めるのではとの憶測が出ている。
「安倍氏にとって国際外交は政治劇場の一環で、彼はそれがうまい」とキングストン教授は話す。
安倍首相は、日本経済が低迷し最高の時代が終わってしまったという雰囲気の中、日本を復興させるという約束を掲げて政権に就いた。
それからは自身を、経済を復興させ、国際社会での地位を向上させる首相と形容している。
しかし専門家は、国際外交での成果はほとんど上がっていないと指摘する。
日本は北朝鮮との交渉には関わっておらず、北方領土をめぐるロシアとの協議もこう着している。
一方、中東の緊張を含むこれらの外交問題はどれも非常に複雑だが、安倍首相にとってはリスクが少なく、否定的な側面も少ないという。
「安倍氏は(今回のイラン訪問後)外交問題の解決に失敗したとは見られず、代わりに何か頑張ろうとしたと見られるだろう」とキングストン教授は説明する。
「外交政策では選挙に勝てないが、安倍氏を実際より影響力のある人物に見せることはできる」