引用:毎日
ソウル雑踏事故、警察など捜索 警察トップ事故把握、発生2時間後
ソウル・梨泰院で起きた雑踏事故の現場を訪れ、犠牲者を悼む人たち=2022年11月2日、ロイター
韓国警察の特別捜査本部は2日、ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)で10月29日夜に起きた雑踏事故をめぐり、現場を管轄するソウル警察庁や竜山警察署、竜山区役所など7カ所の捜索に入った。日本人女性2人を含む156人が亡くなった事故に関する捜索は初めて。また警察トップの尹熙根(ユン・ヒグン)警察庁長官が事故について初めて知ったのは、発生から約2時間後だったことも判明した。 【写真まとめ】ハロウィーンは恐怖の夜に 現場に残った仮面と血痕 聯合ニュースなどによると、捜査本部は事故当日に市民が寄せた緊急通報の関連資料や警備計画文書などを押収した。竜山警察署が機動隊の支援を求めたが、ソウル警察庁が拒否していたとの疑惑も捜査しているもようで、ずさんだった警備態勢の実態解明と責任追及を急いでいる。 事故をめぐっては、多くの人出が予想されたハロウィーンを控えながらも、警察が十分な警備態勢を敷かなかったことや、事故前に現場の混乱を知らせる緊急通報への対応が不十分だったとの批判が国民の間で高まっている。 韓国警察庁は事故が起きた29日午後10時15分に先立ち、約4時間で計11件の緊急通報があったと明らかにした。「圧死してしまいそうだ。交通規制などをしないといけない」「人出が多すぎて大事故の一歩手前だ」など、いずれも現場の緊迫した状況を伝える内容だった。「圧死」という言葉を使った通報も6件あった。 これらの通報にもかかわらず、実際に警察官が現場に出動したのは11件の緊急通報のうち4件だけだった。特に午後9時7分以降に受けた5件の緊急通報では出動もしないなど積極的な措置をとらなかった。 尹熙根氏が事故について認識したのは30日午前0時14分だった。警察内部での情報共有の遅れに批判が出そうだ。 尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、厳しい世論に神経をとがらせている。2014年に起きたセウォル号沈没事故で、同じ保守系だった朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)が初動対応に失敗して、求心力を失ったことを強く意識しているからだ。韓悳洙(ハン・ドクス)首相は2日の会合で、当日の警察の対応について「調査が終わり次第、相応の責任を厳重に問う。警察は徹底的に調査し、国民に透明で詳細に説明せよ」と指示した。聯合ニュースは「韓国大統領府は尹熙根氏や李祥敏(イ・サンミン)行政安全相の更迭も慎重に検討しているとの見方がある」と報じた。【ソウル坂口裕彦】