ロシアの軍事侵攻を受け、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2月27日、外国から志願兵を募り、外国人部隊を編成すると表明した。各国にある大使館を通じて志願を呼び掛けた結果、1万6000人が集まったという。ゼレンスキー氏は3日、「ウクライナは既に外国人志願兵を迎え入れている。彼らは我々の自由と命を守るために戦う」と述べており、一部がすでに到着していることを明らかにした。
ロイター通信によると、米国やカナダからは、退役軍人から戦闘経験のない一般人まで幅広い人が志願。ウクライナの首都キエフに到着した米国人男性は、「欧州が再び戦争に突入することが耐えられなかった」と、動機を語った。2008年にロシアの侵攻を受けたジョージアからも志願兵が殺到している模様だ。
露軍の総兵力が約90万人なのに対し、ウクライナ軍の兵力は約26万人にすぎない。ウクライナはロシア兵9000人が死亡したと主張する一方で、自国兵の犠牲は公表していない。ゼレンスキー氏は兵力補強のため、外国人だけでなく、海外在住のウクライナ人にも祖国防衛に加わるように求めている。また、戦闘参加を条件に軍事経験のある服役囚を釈放すると宣言した。
志願兵についての各国政府の対応は割れる。ロシアと国境を接するラトビアでは、議会が2月28日、自国民の志願兵としての渡航を認めることを全会一致で決定した。ロシアのウクライナ侵攻を自国の安全保障に関わる問題として捉えていることが大きい。
一方、自国民が紛争地に入り、戦闘に巻き込まれることに懸念を示す国も少なくない。米国や英国は自国民に対し、ウクライナに渡航しないように改めて求めている。日本政府も参加しないように呼びかけており、在日ウクライナ大使館がツイッターに一時投稿した「義勇兵」の募集案内は削除された。