女子テニスで黒人男性銃撃事件への抗議のため、1度はウエスタン・アンド・サザン・オープン準決勝の棄権を公表した大坂なおみ(22=日清食品)に関わる動きについて3日、スポーツ倫理学の専門家が見解を語った。

大体大(大阪府熊取町)体育学部の梅垣明美教授は同大学の公式サイトなどで「大坂選手の行動に賛意を示す報道が目につきますが、私は大会の運営側のWTA女子テニス協会)などが翌日の試合を延期し、大坂選手と話し合って出場をお願いした対応に注目します」とコメントした。

大坂は米ウィスコンシン州で起きた警官の黒人男性銃撃事件に抗議し、いったんは棄権を公表。しかし、大会が棄権に賛同し、1日休止にしたため、8月28日(日本時間29日)に行われた準決勝を戦った。梅垣教授は米国では白人も大多数が民主的な社会を望み、差別を乗り越え平等な社会を形成する努力をしていると前置きしWTAなどの対応には、米社会のそんな姿勢がうかがわれ、そこにもっと光が当たってほしいと考えます」と力を込めた。

スポーツ選手が人種差別に反対の意思を示すことは「当然認めるべき」とした上で、その方法が重要だと見解を明かした。

「競技会場で意思表示をする場合は、その差別がスポーツの場面で生じた問題かどうかを判断する必要があります。今回はテニスとは関係のない問題であり、棄権ではなく、別の方法での発信を考えても良かったと思います。スポーツ選手の行動は子どもへの影響が大きく『主義主張があれば競技を棄権してもいい』と思わせてはいけないと考えます」

梅垣教授は大体大でスポーツ倫理学、スポーツ教育学、スポーツ史などを専攻している。