点滴殺人の解決には3か月~半年かかる?(Ph:アフロ)

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 横浜市神奈川区の大口病院で、2人の男性入院患者が点滴への異物混入によって中毒死した連続殺人事件。10月11日には横浜市が大口病院に臨時立ち入り検査を行い、院長から聞き取り調査を行った。

「事件発覚後、4階から『出たい』という入院患者やその家族からの問い合わせが殺到しています。ただ、4階はもともと回復が難しい患者ばかりだったので、受け入れてくれる病院は他にありません。つい先日、ある患者さんを3階のベッドに移すことができました。それを聞いた院長が『あぁ、3階になってよかったですね』って言ったんです。院長がよくそんな他人事みたいなことが言えますよね。関係者全員、唖然としましたよ」(病院関係者)

 本誌・女性セブン2016年10月20日号でもレポートしたように、点滴殺人が起きた大口病院の4階では、看護師の筆箱に10本以上の注射針が刺さっていた注射針“針山”事件、白衣切り裂き事件、ペットボトルへの異物混入事件など、ナースステーションでいじめ騒動が頻発していた。

 そして、女性セブンが取材を進める中で浮き彫りになったのは、次々に看護師が辞めていく病院内の惨憺たる実態だった。いじめのターゲットにされた30代の看護師のAさんは9月末に退社している。Aさんの母親に聞いた。

「娘はいじめについて病院に相談しましたが、“自作自演だろう”と言って取り合ってもらえなかった。もうダメだと思って警察に行き、2年以上勤めた病院を辞めました。娘は“年配の看護師がやりにくい”と漏らしていました。その看護師がいなくなれば病院も変わると言っていましたが、結局はそのまま。いじめもなくならなかった」

 その年配の看護師と折り合いの悪い若手看護師は少なくなかった。

「大ベテランです。でも、昔ながらのやり方というか、若い看護師をかなり厳しく叱る。好き嫌いも激しくて、気に入った子だけはかわいがるから、一部の看護師から“えこひいきがひどい”と不満が出ていました。この数年で10人弱の看護師が退職した理由の1つはXさんだったと思います」(前出・病院関係者)

 病院内では、その年輩看護師のストレスが原因で、若い看護師の間にいじめ騒動が起きたのではないかと囁かれているという。

「仕事は丁寧だけど少し手が遅い20代の看護師がいました。しょっちゅう“トロい!”と怒鳴られ、彼女はいつもトイレに駆け込んで声を殺して泣いていましたよ」(別の病院関係者)

 そうした看護師同士の世代間の対立が原因で、大口病院では患者のケアまでもが疎かになっていたという。

「各病室を見回る人手が足りないからか、入院患者を車椅子に乗せて、ナースステーションの前に集めていたのを見たことがあります。見舞いに行った家族の前で看護師が患者さんを怒鳴りつけ、その家族が“本当にひどい。ビデオに撮って告発すればよかった”と激怒していたこともありました」(ある入院患者の家族)

 犯人は点滴を扱う立場にあり、ある程度の医療知識と技術を持つことから、早くから「内部の人間による犯行」の可能性が浮上していたこの事件。にもかかわらず、犯人逮捕に至らないのはなぜなのか。

「物証がなく、捜査が難航している。逮捕まで3か月か半年くらいかかるかもしれない」(捜査関係者)

“白衣の天使”たちは、今何を思っているのか。

※女性セブン2016年10月27日号